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●カルマンギアの買い方(4)

モデル別バイヤーズガイド

  • さて、このページまでたどりついたあなたはすっかりカルマンギアのとりこになっていてもおかしくありません。家族や恋人からすっかり見放されてしまった方もいるかと思います。
    そこでカルマンギアの購入にあったって19年間生産されたうちのどのモデルを購入するべきなのか、各モデルの変化を見ながらさぐっていき、自分のお気に入りの年式やスタイルにしていきたい。

初期モデル(角テール)1956年~1957年モデル

<沿革>1955年8月から生産されたカルマンギア。初期型はスピードメーターと時計の2ゲージであり、燃料計はオプション扱い。そのためサブタンクの切り替えレバー(リザーブコック)が付く。

ハンドルや灰皿は同年のオーバルに順ずる。クラクションのみカルマン専用のツイン。当然ながらオリジナルの電装は6Vであるが12Vに換装された車両も多い。

また56年モデルだけがダッシュ下のエア・ベント操作レバーが左右両側に配置。翌年からドライバーズシートに集中されるようになる。
エンジンは1200ccスタンドエンジン、ミッションは1速がノンシンクロ。

■<中古車市場>1953年のプロトタイプとほぼ同じシルエットで登場したカルマンギアの初期型は、これこぞ"オリジナルカルマンギア"というべくマニアから崇拝されている。

オリジナルを保って程度のいいものはマニアの元にあるのでなかなか出物が無いのが現状。希少価値もあり海外では価格が高騰しているが、比較的日本国内は安い。そのため海外から買い付けに来るのでどんどんタマ数が減少している。

エンジン&ミッションを高年式のものに変更されているものも多い。
当然タマが極端に少ないが、もし見つかればマニアが大事にしていたクルマも多いいので、程度のいいものに出会える確率も高い。またレストアベースの車両を見つけてコツコツ直すのも楽しい。オーバルと共通の部品は手に入れやすい。

程度極上のものは250万円~300万円以上の予算が必要。これでもバブル時の半額以下だ!

初期モデル(角テール)1958年~1959年モデル

<沿革>1957年8月から生産された1958年モデルからカブリオレが登場する。アメリカ輸出仕様としてダブルバンパーも登場。電気式燃料計は標準装備となるがリザーブコックは残したまま。

カルマンギア専用品として半月型ホーンボタンの付いたハンドル、朝顔型のノブ類、アイボリーの樹脂製のサンバイザーが付く。
ハンドルは58と59で微妙に異なる。

ローラー式ペダルは普通のオルガン式に変わり、オーバルと同じブレッドタイプのウィンカーはバルブホルダーが一体となってクロームのリングでレンズを固定するタイプに変更。フロントの温風吹き出し口がやや後方に移動。

59年モデルからフロントノーズエンブレムが七宝焼きからクロームの一体型へ変更。さらにはダッシュの形状も三日月テールと同じプレスラインに変わる。59年モデルをもって初期型は姿を消す。

<中古車市場>上述の56年、57年モデルと同様で角テールはコレクターズアイテムなので程度のいいものはマニアがなかなか手放すことがないが、ときおり上物が専門店の店頭に並んだりYahooオークションに出品されることがある。

角テールを探している場合、私もそうでしたが専門店に声をかけておくというのもひとつの方法だと思います。専門店のネットワークを使って個人のお客さんから探してくれることもあるからだ。

カルマンギアはビートル同様ドレスアップや改造されてある場合が多いが、空冷フォルクスワーゲンに限ってはそれらがマイナスポイントにならない文化が確立されている。
カブリオレもさらにタマが少ない。250万円以上の予算は必要。1にも2にもボディの程度を重視しよう。エンジン&足回りはあとからどうにでもなる。
角テールはコレクターズアイテムなので気長に探そう。

中期モデル(三日月テール)1960年~1966年モデル

<沿革>1959年8月から生産された1960年モデルからボディにメスが入れられることになった。ボディ寸法はほぼ変わらないがフロントフェンダーの形状がずんぐり丸みを帯びていたのがシャープなストレートに近い形状になりヘッドライトの位置が5cmほど上にあがった。

2本ひげもクロムタイプのグリルに変更されテールランプの形状も三日月型になる。ハメ殺しであったリアクォーターガラスはポップアウト式に変更。ウィンドウォッシャーを装備。運転席のアームレストと助手席のフットレストが追加。再びハンドルがビートルと共通になる。右ハンドル仕様も登場する。

61年モデルからは圧縮比の変更により30馬力が34馬力になりタンクが扁平タイプに変わりリザーブコックを廃止。
62年からタイプ3カルマンギアが登場。63年からエンジンリッドにVOLKSWAGENのエンブレムを追加。
64年モデルからウィンカーがクリアからアンバーに変わった。ハンドルのホーンリング廃止。

65年モデルはヒーターノブがレバー式に変更された。サンバイザーを横に向けられるようになる。またシャーシナンバーがこの時代からカルマン専用になる。

66年モデルから1300ccが登場。サイドミラーがフェンダーからドアに移動し形状も変わる。足回りがキングピンからボールジョイントに変更。ハンドルが黒になりホーンリングが復活する。イグニッションスイッチが右側に移動。

■<中古車市場>通称三日月テールと呼ばれるカルマンギアは比較的よく目にするモデル。66年モデルまでが電装6Vだ。そのため12Vに変換されていることが多いのは6Vモデルの特徴といえる。

このモデルは比較的に入手しやすい上、角テールに比べると値段もこなれている。専門店ではない中古車店で投売りの状態で格安物件に出会うことも!ただし余りにも安いものはまっすぐ走らないとか、車体が傾いてるとか、ボディが二個一であるとかいくつかの欠点があるはずなので十分に注意を。

またコンバーチブルモデルもよく見かけるがこちらは少々値段が高い。ボディの歪みが多いものが少なくない。そのため雨の日はホロをしても合羽を着ないと運転できないほど雨漏りするものがある。本来雨漏りはほとんどしない。

60年モデルは唯一スタンドエンジンでありながら三日月テールであったり、内装が角テールと同じなど特異なキャラクターを持つので、近年人気が急上昇している。オリジナルに近いクルマが見つかればゲットだ!

中期モデル(三日月テール)1967年~1969年モデル

<沿革>66年8月から生産された67年モデルより12Vになる。そして1500ccが登場。ホイールが5穴から4穴に。フロントにディスクブレーキを装備。ダッシュまわりも木目調になりスピードメーターが真ん中に鎮座して左右に燃料系と時計が備わるいわゆるミッキーマウスシルエットに。

68年モデルから給油口がボンネット右側に設けられた。イグニッションがステアリングコラムに移動しボンネットフードのリリースノブもグローブボックスに移動。セミオートマチックのスポルトマチックを追加。

シートがバックレスト一体式になりルームミラーがオールプラスティックに。
69年モデルはリアサスがダブルジョイントに変更された。給油口のカバーがグローブボックスのレバーで開閉出来るようになった。カブリオレのリアウィンドウがアクリルからガラス製になった。

<中古車市場>シルエットはほとんど変わらないものの初期型とはかなりディテールに変化が見られた年代。
内装はより現代風(今見ればクラシックだが)にプラスチッキーになっていく。

比較的手に入れやすい。ただしスポルトマチックモデルはパーツの入手が困難なので注意が必要。
オリジナルスタイルを目指すのもいいし、キャルルックスタイルを目指しても面白い。カブリオレのリアがガラスになったのは嬉しい限りだ。

後期モデル(ビッグテール)1970年~1974年モデル

<沿革>69年8月から生産された70年モデルではフロントウィンカーが丸型から大型の横長タイプに変更。テールランプもバックアップランプ内蔵の大型タイプになりその下にリフレクターが付いた。

リフレクターの邪魔にならないようにダブルバンパーが短くなった。ディーラー車はフロントフェンダーにサイドマーカーランプを装備。エンジンがビートルの1302Sと同じ1600ccの50馬力になる。

72年モデルではとうとう鉄道バンパー姿に。ダッシュが木目から黒のスポーティなタイプに変更。スピードメーターも180km/hスケールに変わり、再び同じサイズの時計と左右に並ぶ。ワイパーがステアリングコラムに移動する。その後74年7月まで生産される。
カルマンギアの後継車のシロッコがデビュー。

<中古車市場>シンプルだったリア周りも最終型ではものすごくボリュームのあるスタイルに変化した。

どんなに変化しようともカルマンギアの最大の特徴であるボディラインはやはり美しさをキープしていたと思います。

この時代のカルマンも以前は超不人気であったけど最近はこのショーカーベースにされることも数多く人気も出つつあるが、それ以前のモデルと比べるとどちらかといえば不人気です。だからこの高年式スタイルが気に入れば「買い」だ。

手ごろな価格で手に入れることも可能。高年式ではありますが低年式に比べ専用パーツの入手が困難なものもありますので、購入時はショップにパーツ供給のことをよく聞いておこう。

フロントフェイスの年代変化



1957年式 二本ひげが特徴

1958年モデルからUSモデルにダブルバンパー仕様登場

1960年式


1963年式 フラッシャーレンズが大きくなった

1970年式 ガソリン給油口がボンネット右にある

1973年式 鉄道バンパー 黒いワイパー

リアエンドの年代変化



1957年式 角テールが特徴

1958年式 ダブルバンパー仕様(USモデル)

1963年式 三日月テール

1970年式  丸型リフレクターがテールランプ下に付く

1971年式 サイドが短いダブルバンパーに注目

1973年式 最終のビッグテール

インテリアの変化


インテリアの年代変化

1957年モデルまで採用された幅の薄いフロントシート

1957年までのオリジナルシートは希少でまずみかけない


1958年式ツィードとのツートンカラー

1963年式ビニールに白いパイピング

1970年式

タイプ3カルマン

メーターまわりの年代変化



1958年式 フルオプション!

角テールで60年代のダッシュデザイン、希少モール付き

1965年式 再びビートルと共通のハンドルになる

1968年式  木目調のダッシュ メーターが変更

1973年式 再びスピードメーターと同じ大きさの時計

ホワイトメーターでカスタムするのも人気がある

エンジンルームの年代変化



1958年式 1200ccスタンドエンジン

1963年式 圧縮比変更により34馬力に

1970年式 バッテリーが右から左に移動

フルカスタムエンジン

サイドビューの年代変化



1958年式 ルーフとのツートンカラーも多い

1959年式 ヘッドライトへつながるラインが丸い

1963年式 フェンダーラインがより直線的に

1964年式フェンダーアーチも拡大されている

1970年式

1971年式

フロンとノーズエンブレム



58年7月まで ツーピース七宝焼き

58年8月から62年7月まではアルミワンピース型

最終モデルまで

オプション、ドレスアップパーツなど




エンジンリッドエンブレム
62年までは30cm 63年以降は24cm

角テール専用

60-66年用

67-74年用

オプション、ドレスアップパーツなど



角テール用追加メーター

アッシュトレイクロック

扇風機

ノーズグリル

リザーブコックエクステンションレバー

シフトロック

まとめ

ここまでカルマンギアについて様々な意見や思いを書きましたが、あくまでも筆者の独断と偏見であって必ずしも正しいとはいえない部分も多々あると思う。幸いなことにカルマンギアは雑誌や参考書やインターネットなどでたくさん情報を入手でき勉強できる。勉強すればするほど深みにはまるという恐ろしさも併せ持つことも知っておいて欲しい。
1台でも多くカルマンギアを大切に後世に残して欲しいと考えます。

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